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【特別編】PFANNER JAPAN(ファナージャパン)~Episode1~救出作戦

こんにちは! 山本です

今年の春から配送修理のご依頼がグンと増えました
お客様の顔が見えないので メールや電話でのやり取りは聞き逃しや伝え忘れが無いよう 慎重に です
後はタイピングスピードがもっと速くなれば。。。


本日のご紹介はかなり特殊な修理をご依頼頂きました
今回は鳥取県にお住いのオーナー様からのご依頼です
こちらがBeforeです

PFANNER JAPAN(ファナージャパン)という安全防護服のトータルブランドの林業用ブーツをお預かりしました

オーナー様からお聞きするまで知らなかったんです 林業用ブーツ
電話でこんなブーツと説明を受けたですが 現物を見るまで全く想像もつきませんでした
かなりの数の靴を修理してきましたが まだまだ知らない事ばかりです
日々是精進です
こちらのブーツは林業用との事でソールには雪山登山等で登場しそうなアイゼンのような爪?スパイク?がびっしりと付いています
後 アッパーにはチェーンソーが万が一足に当たってもチェーンソーの刃に絡まって止まるよう特殊なインナー素材が使用されているそうです

と こちらのブーツの説明はさておき 今回ご相談頂いた内容が

【作業中に左足つま先をユンボに轢かれて トゥスチールが変形した】 との事

想像しただけで恐ろしいですが よくよくお聞きすると履いていない(置いてある)状況で巻き込まれたそうです (そりゃそうですよね。。。)

トゥスチールと言えばエンジニアブーツについていて
ご依頼頂く事が多いのはトゥスチールを外して革で作製 ですが
あくまでストリート用 ファッションですからね
こちらはガチなヤツです 生半可な強度では足先を守れません

そんなトゥスチールが左足。。。見事に潰れて変形している。。。

今回オーナー様より「別につま先はスチールが入っていなくても問題ないので 普通の芯材に交換して また履けるようにして欲しい」とご依頼頂きました

ノルウィージャン製法の為 解体工程は頭の中でシミュレーション出来るのですが 。。。
ブーツのゴツさと特殊さに気圧されて着手するのに気合いが必要でした(笑)

とりあえずソールのスパイクを取り外し(これだけで一苦労しました(泣))
ソールを解体してみました
こちらがAfterです

ソールは約5ミリのダブルミッドソールでしたが アウトステッチは1枚目のみにかかっており 2枚目は貼付けでした
ですがスパイク固定のビスがやたらと長く 1枚目のレザーミッドソールまで貫通していました
インナーコルクの代わりに 樹脂製の硬質プレートが内蔵されており 踏み抜き防止仕様でした(たぶんそういう意味だと推測します)
そしてここで一つ問題が
アウトステッチを抜こうにもステッチ周りがシールされている上から泥をかぶり
固まって作業できません
重量登山靴などで見られるステッチのシール(防水)加工
見た目より機能性で アッパーとソールを留めているステッチをシール材でコーティング処理してしまう加工です
ステッチ穴からの浸水を防ぐ効果がありますが 修理作業には障害です

「シールを剥がすってことは。。。 直したらまたシールしないとあかんてことやなぁ。。。」とぼやきながら ガリガリと泥とシールを剥がしながらブーツの下半分を洗いました

でこちらが洗い後

まだまだ先が長い。。。
アッパーの側面に見える白いステッチが【すくい縫い】
中底とライニング+アッパーを縫い繋いでいます
これにウェルトを挟み外から見えないように縫えば お馴染みの【グッドイヤーウェルト製法】です
このすくい縫いを解くとアッパーだけめくりあげる事が出来るので
やっとトゥスチールに出会えます
余計な所は切らないように注意しながら 前半分のすくい縫いを解くと。。。
ついに!

とりあえず第一段階 トゥスチール救出成功!

でぇぇ! めちゃくちゃ潰れてるぅ! と驚愕の光景です
安全靴のJIS規格で一番厳しいレベルを調べると
【3ナンバーセダンが1台乗っても潰れない】という事らしいですが。。。
ユンボ 重機ですからね。。。

とりあえず反対側もトゥスチールを取り出し
たまたま残っていたレッドウィングのエンジニアブーツのトゥスチールと比べてみました
エンジニアのスチール かわいいですね(笑)

次回からはトゥカウンター(正しくはトゥパフ・先芯)の作製です
続編を乞うご期待!



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2020-06-27 | Posted in Blog, Works of Boots, Other Boots